ヨガ哲学『バガヴァッドギーター』読み方のコツ①


ヨガをやっているなら読むべき本(古典)!と、よく言われるのは『ヨーガースートラ』と『バガヴァッドギーター』ではないでしょうか。もちろん、ヨガをやっていない方にも、人生の心の杖となるような珠玉の教えがたくさん込められているのでオススメです。ただし、読むのにはちょっとしたコツが必要。共に、短いサンスクリット語で綴られた古典なのですが、日本とはまったく違うカルチャーを持つ大昔のインドのお話しということで、スムーズに読み進め、理解するのにはある程度のヨガの知識はもちろん、この本を意図するポイントを押さえておくのが必要、というのが率直な感想。なので、途中まで読んだのだけれど挫折してしまったよ、という人も多いのではないでしょうか?(なにを隠そう、実は私も何度も挫折した派....。)

頭の片隅にいつも苦手な古典の影を感じていた昨年のある日。『Yogini(ヨギーニ)』で担当する企画のテーマが『バガヴァッドギーター』に決まり、インド哲学に精通している森田尚子先生に取材するという機会を得ました。まさに、ご縁~。取材では自分が疑問に思っていること、意味がよくわからないところ、読むために押さえておくポイントを率直に質問させてもらいました。何度も渡印している森田先生はさすが!インド独特の風習や考え方、インドでのこの本の捉え方など。もろもろを教えてもらうことで、色々な事が腑に落ち、おかげさまでようやく、この本の本当の素晴らしい教えを学ぶことができました。

そこで、ヨガの古典が苦手な人が、本を読む前にまず知ってもらいたい知識や読み進めるコツのようなものを、2017年11月に発売されたヨギーニの「ヨガ塾(見開き全6頁)」という企画で記事を書いています。最近、ヨガのクラスでもバガヴァッドギーターについてお話しすることが多くなってきたので、このブログに実際に掲載された11月号の誌面の写真を貼りつつ、補足を加えながら改めて紹介しようと思います。


▲Yogini Vol.61 「ヨガ塾」P84-P85
まずはここを読んでみてください。

はじめに、『バガヴァッドギーター』は『マハーバーラタ』という “世界一長い本(聖書の約4倍の長さ!)”と呼ばれる、インド最古の叙事詩のなかの一部、第6章の部分を抜き出して一冊の本にしたもの。『マハーバーラタ』はバラタ王族同士が王権・権力を争う壮大な物語。昨年10月に日印友好交流記念の演目「極付印度伝マハーバーラタ戦記」と題して、歌舞伎座で上演されていたので耳にした人も多いのではないでしょうか。

さて、『バガヴァッドギーター』は戦争を題材にしたインド哲学のお話し。色々な人が翻訳した本が手に入りますが、冒頭には登場人物の系図が載っていることが多く、ぶっちゃけいうと、これが頭を混乱させるもとのような気がします....。そこで、押さえておくべき登場人物は、クリシュナ(神)とアルジュナ(悩める王子)のみでも大丈夫なぐらい。この本の真の意図を学ぶには、他の登場人物は特に重要ではないです。

物語の構成としては、アルジュナと敵対する軍(といっても親戚)の盲目の王が、自分につかえる御者サンジャに「おい、いまどうなっているんだ!」という具合で、目の前の戦いを実況中継させている内容がそのまま物語りになっています。クリシュナは馬車乗りの名人で、アルジュナの従兄弟という設定。優れた弓の戦士である王子アルジュナが乗る馬車の御者役を買って出ます。彼らは王族なので、馬車も白馬を4頭も引き連れ、なんだか優雅(笑)これが昔の王族の戦争のスタイルなのですね。ちなみに「化身」はサンスクリット語で「アバターラ」といい、映画『アバター』の語源はここから来ているのだとか。


読み方のコツ②につづく・・・

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という方は、枻出版のサイトまたはアマゾンにて、
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「Yogini Vol.61」 
2011年11月20日発売号
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